スイートマジック踊ってみたNG編

2012年。

踊りも下手だし犬も追いかけて来るしでボツにしようと思った作品だけど、犬のところでみんなが和んでくれてよかった。

それにしてもみんなおっぱい揺れるのが好きね。

スイートマジックは大好きで何度も踊ってる。

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今日、夕立が過ぎて街の匂いはしょっぱくなった。

しばらく不安定な天気が良く続きそうね。

ねぇ、なんか日常って武器のない戦場ね。

 

ハッピーシンセサイザ

2011年。

この頃になるとニコニコ生放送もかなり頻繁に配信していた。朝、起きてから学校に行くまでの時間とか。

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リスナーさんに世田谷のカフェへ硝子ちゃんも一緒にカレーを食べに連れて行ってもらったこともあったっけ。世田谷の街、初めて行った。路面電車があった。迷子になりそうな街だった。店の中にはベースが置いてあって、硝子ちゃんが弾いていた。リスナーさん、カフェのマスター、今でも仲良くしてくれていてありがとう。わたしも大人になったよ。

 

わたしの動画の中で一番消したい動画かもしれない。ハッピーシンセサイザ歌って踊ってみた。歌えてもないし踊れてもないし恥ずかしいんだけど。コメントがアンチとおっぱいの話題ばかりでカオスで面白いから消さないでいる。これもわたしの青春のうちのひとつ。

 

そうそう、最近地元のサークルに入ったよ。

バドミントンをしたりご飯会をしたりする。

 

人との縁は不思議です。

去る人があれば来る人もあって、欠けてゆく月もやがて満ちて来る。

なりわいの中で。

ハムスターのポニョ

2008年から2010年までポニョを飼っていた。真っ白なゴールデンハムスター

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部屋の中を走り回るのが好きで、背の高い本棚にも軽々とよじ登って遊んでいた。

「何もなしに2年も生きるなんてすごいですね」って獣医さんに言われた。元気いっぱいのポニョ。
鼻がピンクの可愛いポニョ。
そんなポニョが死んでしまった。
わたしのポニョが死んでしまった。
朝起きて小屋を覗いたら、まるまったまま、もう息をしてなかった。抱き上げるともう冷たかった。 わたしはポニョを抱いたままウロウロと部屋を歩き回って泣いた。

「いいからもう学校に行きなさい」
母親が言った。
「学校が終わったらお墓を作ってあげましょう」

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駅のプラットフォームで通り過ぎる皆がいぶかしげな顔でわたしを見る。当たり前だ。女子高生が一人でダラダラ泣いているのだ。
電車に乗ると、泣いているわたしに気が付いた違う制服の女子高生が席をゆずってくれた。
「どうぞ」

「ありがとう」

わたしは次の駅でおりて学校に電話をした。
「風邪をひいたので休みます」
「わたしも今日学校休む♪」
振り向くと驚いたことに、席を譲ってくれた女の子が側に立っていた。
「そう…ジュースおごるよ。さっきはありがとう」
自動販売機でお茶とオレンジジュースを買った。
「おいしいね!!」
オレンジジュースを飲んだ彼女はびっくりして言った。
その顔があまりに真剣だったのでわたしは笑ってしまった。
「飲んだことないの?」
「初めて飲んだ!それは美味しい?」
わたしのお茶を一口飲んで彼女はぺっと吐いた。
「これはダメみたい。ねぇ、じゃあ今日は何して遊ぶ?」
「え…」
わたしは早く帰りたかった。帰ってポニョのお墓を作ってあげようと思った。
「そこに公園があるの」
彼女はわたしの返事も聞かずに走り出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
彼女を追って公園に辿りついた時にはもうすっかりバテてしまった。
「あなた…、走るのとっても速いのね…」
彼女は座り込んだわたしの顔を覗き込んで笑った。
「体力ないのね」

わたしたちは乙女らしく、シロツメ草でかんむりを作ることにした。なんだかとても懐かしいにおいがした。緑の草のにおい。 わたしはポニョを思い出した。こんなところで一緒にお散歩ができたら良かった。
「はい!あげる!」
悲しい気持ちになってきた時、彼女はわたしの頭の上にポンとかんむりを乗せた。
「…ありがとう。器用ね」
わたしはまだかんむりの半分もできてなかった。
「わたしは慣れてるから。もういいよ、行こう?」
彼女はそう言って立ち上がり、スカートの砂をポンポンと叩いた。
「行くってどこに…?」
わたしはポカンとして聞いた。
「東京タワー!!!」
「え!?」
「本気だよ?いや?嫌ならひとりで行く」
「嫌じゃないけど…」
彼女はにっこりしてわたしの手をひいた。
「じゃあ行こう?おなかへったし何か食べてさ。何食べる?美味しいオムライスとか食べてみたい。美味しいラーメンも食べてみたい。よくテレビでやってるような」


美味しいオムライスを食べ、東京タワーの下まできて彼女は言った。
「ずっとここに来てみたいと思ってたの」
「来たことないの?」
「ないの。高いね!ワクワクするね!」
わたしはふふふと笑ってしまった。面白い子と出会ったなぁと。 展望台ではキャアキャア言ってはしゃいだ。落ちるーだとか、高いーだとか。うるさい女子高生と思われただろう。
「家が小さいねぇ」
彼女はガラスにはりついて外を眺めながら言った。
「こんなにいっぱい人間っているんだねぇ」
「そうねぇ」
「こんなに人がいっぱいいる中で誰かが誰かに出会って仲良くなるってすごいと思わない?」
「え?…うん、そうかな、あんまり考えたことなかったけど、うん」
「わたしと亜美ちゃんが出会ったこととか」
「…え?」

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東京タワーを出る頃にはすっかり夕方になっていた。わたしはまた悲しくなってきた。泣きたくなってきた。ポニョは死んでしまった。こんな時にわたしは知らない女の子と遊んだりして何をやっているんだろう…。 まだ楽しそうな彼女の横でわたしは言った。
「わたしもう帰…」
「楽しかったよ」
「……そう、わたしもよ」
「今までずっと、だよ」
顔を上げたわたしに彼女は笑顔でしおれた四葉のクローバーを差し出した。
「あげる。ありがとう。それだけ言いたかったの」
それだけ言うと彼女は走って行ってしまった。
そういえばポニョも走るのが速くてなかなか捕まえられなかったっけ…。

天気読み

坂道を降りたところに桜の木が一本だけ立っていた。コンビニからの帰り道。贅沢な春休み。映画の撮影の合間。4月上旬の夜のことだった。
わたしは先生のほうを振り返って頭上を指差した。
「見て、満開」
もう少しふたりだけでいたかった。理由はなんでもよかった。先生が立ち止まってくれたことにわたしは嬉しくなった。
オレンジ色の街灯に照らされて、桜の花は、より柔らかく見える。ずいぶんと長い間、わたしたちはそこに立っていた。わたしは先生の横顔ばかりを見ていた。この人ともっと一緒にいたいと思った。もっと何時間も、とかではなく、もっと。明日も明後日も、よりももっと。ずっと、思っていた。ずっと。最初からずっと。
「ずっと一緒にいようよ」
わたしはしらふで言った。
天気が良くて風が強くて寒くて、みんなの輪から抜け出したわたしたちは酔狂で、何もかもがばかばかしくて幸福すぎた。

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そして時は2020。今年は謎のウイルスで世界はパニックになり、先生を思い出す毎年のお花見もできなかった。梅雨はうんざりするほどとても長く、梅雨明けすれば上昇する気温のせいでデータマップが真っ赤に染まる。毎日とてつもなく暑い。麦茶を飲む。梅干しを食べる。東京オリンピックは延期になってしまった。行く予定だったライブやフェスも中止になった。きっと歴史に残るような年だ。教科書に載る。そんな時を生きている。わたしの花柄のマスクはりこちゃんが作ってくれた。リバーシブルでかわいい。米津玄師の最新のアルバムはこんな時代にも関わらず100万枚以上売れている。世の中はカオス。

 

なんでもなかったあの春の日に戻れたらいいのに。

「ずっと一緒にいようよ」

先生は、あははと笑った。

 

先生から電話がかかった。

スマホの画面が光り、名前を見たわたしは驚きのあまりにスマホを投げ出しそうになった。ほどなくして留守電に切り替わった。わたしはそれをじっと見ていた。
「ひさしぶり。特に用事はなかったんだけどね」

そっか。

「ひさしぶり。特に用事はなかったんだけどね」

20秒のその留守電のメッセージをわたしは何度も聞いて、とっくに諳んじてしまった。そしてわざと思い出す。先生の色々を強引に思い出して、じたばたしてみる。何でもいいから先生に翻弄されていたい。先生の腕の中で溺れたい。貰った傷さえ輝きのそのひとつ。

先生を好きで仕方がない。未だにどうしようもない。もうどうしようもない。先生が他の誰を好きでも、わたしは先生が好きで本当にどうしようもない。
いい音楽に出会ったら伝えたい。いい映画に出会ったら伝えたい。いい音楽じゃなくてもいい映画じゃなくても伝えたい。あのアルバム期待してたけどいまいちだったなァとかでも話したい。なんでも言いたい。毎日思う。今描いてる絵がとても楽しいとか、もうすぐセレスティーナがイタリアから帰ってくるよとか、今日洗濯物干してたら網戸がはずれてさぁとか、本当は色々話したい。昔みたいに、話し疲れて眠くなるまで喋っていたい。晴れた朝になって笑われてもいい。側にいても離れてても近くにいたい。年月なんてあてにならない。時間が経っても忘れるわけがない。もしかしたらもう恋とか愛とかじゃないかもしれない。なんか、ただ、訳のわからない、すごい衝動。そして、もう、どうしようもなくて、ただ、途方に暮れてしまう。

浮き世のすべてが恋しくてたまらなかった

先生に電話した日をいつもカレンダーに記していた。最後に電話して2週間経ったからそろそろいいかもしれない。テレビに椎名林檎が出るからそれを理由に、ただ単に、思いついたから電話したって感じで。「見れないから録画しておいて」って言おう。また今度電話する理由ができる。喋りすぎないようにしよう。はしゃいだりしないようにしよう。大丈夫。絶対大丈夫。

 

何度電話してもそんなふうに緊張した。電話ごときに。
毎回3時間くらい喋るくせに。

「今日の夜、電話するね」ってLINEを送った日は怖気付いて友達に電話する。逃げる理由を作る。
「今日の夜空いてたらどっか遊びにいこうよ。うん。ガストでいい」
そんでガストで友達と騒ぎながら先生にLINEする。
「今友達とガストいるのー」
「電話はどうする?」
「今度暇な時に電話して?」
「わかった」
わたしはホッとしながらガッカリする。そして今度は「どうかどうか電話がかかってきませんように」と心の中、本気で祈る。でもかかってくる。うわ嫌だどうしよう!とか思いながらホッとする。あぁよかった。嬉しい。わたしのことを覚えていてくれたのね。先生もひとりでいるときにわたしのことを少しでも考えてくれたり思い出してくれたりするんだろうか。もしそうなら神様、それは奇跡よ。

 

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16歳だった。出会った日、その日から、ずっとギリギリで生きてた。1ミリでも後ろに下がったら裏側へ落ちてしまうような、そんなギリギリの淵を歩いてた。 たった一言が嬉しくてもうそれだけで死んでしまいそうになっていた。思い出しただけでわたしは一生しあわせでいられると思っていたりした。電話を切ったあとに窓から携帯放り投げて走りだしたいくらい嬉しかったりした。浮き世のすべてが恋しくてたまらなかった。そして、たった一言に傷ついてそれだけで死んでしまいそうになっていた。一喜一憂しすぎて本当に死んでしまうと思った。置いて行かれそうでこわかった。いつかホントのこと言われるんじゃないかと思ってこわかった。だんだん訳が分からなくなってきて、先生の心も居場所も髪も笑顔もどうでもよくなって、もういっそ電話もLINEもなくなって、そしたらわたしは一生しあわせなままで、思い出と妄想それだけで生きていけるだろうと思ったの。半分狂気。

ホントは椎名林檎CUNEもどうでもよかった。シムズもポールスミスもどうでもよかった。映画だって先生巻き込まないで撮ればいい話だったんだ。でも、そんなのも、もう過ぎた話。

いろんなことを話しすぎて、どうでもいいことを毎回わたしは何時間も本気で話しすぎて、何をしてても何の曲を聴いても何の本を読んでも先生を思い出すよ。

 

ローリンガール、泣きながら歌ってみた

ローリンガール、泣きながら歌ってみた。

2010年。大好きな先生のことを想って歌った。

 

どうなったっていいんだってさ

間違いだって起こしちゃおうと誘う坂道

璃和さんがPVを作ってくれた。

オチもちゃんとあるから最後まで見てみてね。

黒歴史になってしまう動画だって消さない。

それもわたしの大切な歴史のひとつ。

 

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10年も経っただなんて信じられない。

先生と初めて会ってから10年も経っただなんて信じられない。

 

最後のやつをわたしは使う、使ってしまう。

神様、本当は神様なんていない

 「ちゃんと話すから、ちゃんと聞いて欲しいの」

前日、わたしの話をはぐらかした先生に電話をかけて、わたしはゆっくりと言った。
「ちゃんと聞いてね?」
わたしは体育座りをして、自分の裸足のつまさきを見つめながら言った。今でも鮮明に覚えている。とても忘れることなんか出来ないあの時の会話。遊園地とショットバーとファミレスをハジゴして先生と別れた、その数日後の夜のこと。
「うん。ちゃんと聞くよ」
とても穏やかな声で先生は言った。それだけでわたしはもう泣き出しそうになった。わたしが何を言うか先生はもうわかっていたと思う。今更こんなことを言うべきじゃないことも、本当は先生がそれを聞きたくないことも、お互いにわかっていた。それでも言葉にしてしまわなければ、わたしは本当に潰れてしまいそうだった。先生が好きで、何もかもが先生で、毎日わたしはバカみたいに先生の夢を見過ぎて、バカみたいに一喜一憂しすぎて、潰れてしまうと思った。尊敬と憧れと緊張と興奮と嫉妬と期待。その感情の嵐で。

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「せんせ?」
「うん?」
一言一言がとても重たい。
「わたし、先生のことがすきなんだ」
「うん。ありがとう」
「先生は?わたしのことがすき?」
「うん。好きだよ。でもね」
まばたきの音が聞こえてしまうくらいにわたしは何度も大きくまばたきを繰り返した。嬉しかったからじゃない。どうしていいかわからなかった。

「でもね」

こんな質問をするんじゃなかったと思った。どう答えられてもたまったもんじゃない。確かに先生はわたしを好きだと言った。でも、だから、それがどうだっていうんだろう。それで何かが変わるの?

「でもね、俺、彼女がいるんだ」

知ってる。

そんなの知ってるわ。
でも先生は、これからもわたしと一緒に居たいと言ってくれた。恋愛云々ではなくて、人間として。確かに亜美の作っていく未来は不知顔だけど、また一緒に笑ったり飛んだり大きく驚いたりしていきたいと。ずるいわ。そんなのってないわ。

「先生、わたしが死んだら泣く?」

意地悪を言った。

「は?バカか?死なないでいてくれよ?」

狼狽したような声を先生は出した。

神様、本当は神様なんていない。

わたしは先生を好きだけど、たぶんずっと好きなままだけど、そのうちきっと忘れてしまうだろう。忘れようとしなくても、忘れたくなくても、忘れてしまうだろう。でも、そうすればきっといつかまた会える。神様なんていない。わたしはこういう手段で永遠に先生を手に入れるの。

なくさないわ。